学校や仕事、生活での悩みや疑問。廣津留さんならどう考える?(撮影/吉松伸太郎)
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小中高と大分の公立校で学び、米・ハーバード大学、ジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(30)。その活動は音楽だけにとどまらず、大学の教壇に立ったり、情報番組のコメンテーターを務めたりと、幅広い。「才女」のひと言では片付けられない廣津留さんに、人間関係から教育やキャリアのことまで、さまざまな悩みや疑問を投げかけていくAERA dot.連載。今回は、大きな社会問題の一つでもある気候変動について、一個人としてどうコミットすればいいのかと悩む40代女性からの質問に答えてくれた。

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Q. 年々、地球温暖化が差し迫ってきているのを感じつつ、私は何をすればいいのかと考えても途方に暮れるばかりで、事態を少しでも変えられるような行動には移せていません。すみれさんは気候変動の問題にどれくらいコミットしていますか?

A. 難しいですよね……。私がハーバード大にいた2012年〜16年当時、キャンパス内で学生たちが大学に対して、サステナビリティへのコミットを訴える活動をしていたことが印象的でした。問題意識を高く持っている人が多く、同級生にも気候変動問題に対するアクティビストがいます。日本ではまだこの問題が日常的な話題に出てくる感じではないですが、自分の問題として意識を持って見ているかどうかが大事だと思います。そういう意味では、質問者さんは一歩深くコミットしているのではないでしょうか。

 私自身は飛行機にも多く乗りますし、気候変動の問題に積極的にはコミットできていないかもしれませんが、それでも環境への意識は持っています。幼稚園生くらいの頃に、『子どもたちが地球を救う50の方法』(ブロンズ新社)という本を読んですごく刺激を受けたんですよね。地球の環境問題についての解説とともに50のエコアクションを紹介する内容で、その影響でお父さんがトイレの電気をつけっぱなしにしていたら消しにいって注意していました(笑)。当時は節電や節水、ごみの分別などをなんだか楽しくてやっていたけど、今考えるとそういう小さな積み重ねが大切なのかもしれないと思うんです。自分ができることをやっていくしかないのかなと。昔からの習慣で今でも電気はこまめに消しますし、家では浄水器で水を飲んでペットボトルを買わないとか、資料も基本はプリントアウトしないなど、自分ができるエコアクションを続けています。

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廣津留すみれ

廣津留すみれ

ひろつる・すみれ/バイオリニスト、国際教養大学特任准教授・成蹊大学客員准教授。1993年、大分市生まれ。2016年にハーバード大学(学士課程)、2018年にジュリアード音楽院(修士課程)を卒業。世界的チェリスト、ヨーヨー・マとの共演のほか、ゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズの演奏・録音などを担当。情報番組にコメンテーターとして出演も。著書に『ハーバード・ジュリアードを首席卒業した私の「超・独学術」』(KADOKAWA)など。2022年にファーストCD「メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲+シャコンヌ」をリリース。ジュリアード音楽院の教授ジョセフ・リン氏の代演を務めたコンサートのライブ音源を収録している。

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