最後に、あと二つ調査結果を紹介しておこう。
問5では、岸田首相の交代時期について聞いているが、次の総裁選(時期は特定せず)で「交代を望む」という自民党員が56.6%、「再選を望む」が20.8%、「わからない」が22.6%だった。
岸田氏を積極的に支持したのが12.2%いたことと合わせて考えると、8%程度は期待できる人がいないので誰がやっても同じだと考えて再選でも良いと答えた人がいるということになるのではないか。
問6では、次の衆議院選で自民党候補者に投票するかと聞いている。「必ず投票する」と答えた人がわずか54.2%だった。「迷っている」が21.7%、「多分投票しない」が22.5%、「棄権する」が1.7%だった。
この数字は驚きだ。自民党員の2割以上が、迷いもせず今の段階で、棄権をせずにしかも自民党に多分投票しないと答えている。つまり、他党に投票するだろうと言っているのだ。迷っているも2割以上いるから、その中にも他党に流れる党員がいるだろう。こうした傾向が自民党支持層一般にも広がっていると考えると、次の選挙では、自民党の得票が激減する可能性があるということになる。
政権交代が起きるとすると、野党の頑張りに期待するしかないように感じるが、ここで紹介したデータを見ると、それよりも、自民党が自壊して政権交代が起きる可能性があることが見えてくる。
一方で、岸田首相にとっては、自民党員の支持に限れば、石破氏を潰し、高市氏の追撃をかわすことが延命の条件になる。上川氏の大化けをどう防ぐかも課題だ。
そうしたことをケアしながら、先週の本コラムで紹介した所得減税による実質所得大幅アップという切り札にかけて、8月または9月の解散総選挙を狙うということになるのだろう。
ただし、岸田首相の大逆転は、「国民はバカだ。時間が経てば必ず忘れる」という安倍氏から引き継いだ岸田氏の哲学が正しかった場合にのみ実現可能だということだ。
逆に言えば、我々国民が果たすべきは、自民党が崩壊しつつあるということを認識し、次の総選挙まで、現在の岸田政権や自民党政治への怒りの気持ちを忘れずに必ず投票に行くこと。それに尽きる。
政権交代は手に届くところに来ているのだ。