いくらやっても曲作りが進まないこともあります。そういう時は、「あの最初のイメージはどこに行っちゃったんだろう。もっと良い曲になるはずだったのに」と思って絶望し、もし何か思いついた時にすぐ作業ができるように、ギターを横に置いて寝ます。そうすると、目覚めた瞬間に良い曲が浮かぶことが多いんです。世界がものすごく明るくなるようなアイデアは枕元にある。そして、ずっと輝いているわけではなくて点滅しています。寝ることは大事なんですよね。でも、そこからまた何日間も何も曲が思い浮かばないこともあります。その繰り返しです。
だから「良い曲ができるのはラッキーなんだ」と思っていました。でもクロマニヨンズで17枚もアルバムを作っていることを考えると、もはや偶然じゃないのかもしれないですね(笑)。
若い頃は、良い曲ができるかできないかは点滅を掴めるか掴めないかの一発勝負だと思っていましたが、それを続けてきたことでやっと自信が生まれた気がします。数や時間が証明してくれることもあるんじゃないかと思い始めた。そうなると、たとえ良い曲ができなくても「そのうちなんとかなるだろう」と思って気が楽になる。そこで僕の怠け癖が出てきてしまうかもしれません(笑)。
(編集/ライター・小松香里)
※AERA 2024年2月5日号より抜粋