――ザ・クロマニヨンズの17枚目のアルバム「HEY! WONDER」が完成した。今作も甲本と真島昌利、それぞれが詞曲を手がけた楽曲が収録されている。甲本が詞曲を手がけた「恋のOKサイン」は、勇ましい掛け声やドゥーワップ調のコーラス等が入っており、レコーディングの楽しい雰囲気が特に伝わってくる楽曲だ。
甲本:コミカルでふざけた表現が好きなんです。下品にならない程度に笑えるということはすごく大切なこと。笑うことには抗えない。だから、感動して泣くことと同列だと思っています。
アルバムの収録曲のうちの何曲かには必ずマーシー(真島)のギターソロを入れてもらいます。「恋のOKサイン」は「そういえば最近マーシーはバラード調のギターを弾いていないな」と思ったから入れてもらいました。何せマーシーはギターが上手いですから。そして、僕と何十年も一緒にいて、同じレコードを聴いて語り合ってきたので、僕が何をやろうとしているかを的確にわかってくれる。おそらく曲出しの瞬間に全部わかっていると思います。
――ザ・クロマニヨンズを結成してから17年間、約1年に1枚のペースでアルバムをリリースし続けてきた。安定してこのペースを保つことができるのはなぜなのだろうか。
甲本:生活しているなかで時折新しい曲のイメージに襲われることがあります。イメージの押し寄せ方は様々で、自分で笑ってしまうものもありますし、なんだかよくわからないけど興奮するものもある。イメージに襲われると曲を作らずにはいられなくて、一気に1曲分のイメージができ上がります。そこからコード進行を付けたり、メロディーを整える作業をして、バンドで演奏できる形にします。僕を襲ってきたものが同じように曲を聴いてくれた人を襲えば面白い。
やっと自信が生まれた
最初のイメージは全曲違うので、クロマニヨンズのアルバムは何の統一感もないですし、それをどう捉えるかは聴いてくれた人次第。僕らがでたらめに投げたものをみんながキャッチしてくれて、「今回のアルバムはこうだったね」という風に思ってもらえればそれでいいんです。