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 落語家・春風亭一之輔さんが連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今回のお題は「派閥」。

 1月21日から落語の公演で九州に来ています。21日が宮崎県西都市で独演会。22日から24日までは柳家喬太郎師匠、柳家三三師匠との三人会。22日が本市、23日が福岡市。そして本日24日、これから長崎に向かうところ。

 昨日23日、日本中は大寒波に見舞われてそのせいで路面が凍結し現在、福岡〜長崎の高速道路が不通らしい。昨年も同時期に九州ツアーがあり、やはり福岡公演の日に大雪が降り交通網が麻痺。福岡から長崎への移動が急遽高速道路利用から電車へと変更になりました。

 この三人会はメンバーを変えながら何十年も続いている歴史ある会。私がこの落語会のメンバーになったのは昨年からで、柳家小三治師匠がお亡くなりになってその空いた席に私がヌルッと入れて頂いたのです。もったいないことです。恐縮しきり。ありがたやありがたや。

 しかしこの時期、二年連続の大寒波。その前の年まではこんなことはなかったそうな。私がメンバーになって二年続けてのこの大悪天候……。どういうことだ。ひょっとしたら小三治師匠の祟りだろうか?  雲の上でこんなこと思ってらっしゃるかもしれないよね。

「ワシはキサマを認めたわけではないぞよ!」

 とかね。「ワシ」とか「ぞよ」とか絶対言わないけどね、小三治師匠は。祟りを起こすイメージの怖いおじいさん味を出してみました。

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春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

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