弥一ネタを考えていたら武雄温泉に到着。慌ててかもめに乗り換える。全長66キロという最短新幹線。これも弥一の頑張りのおかげなのかと思うと感慨深い。お疲れ様でした、弥いっちゃん!

 会場に着いて気づいた。この三日間はローテーションで私がトリなんだった。ということは前に上がる両師匠が弥一先生の話をしてしまったらもう出来ないということか。

 と、思ってたらいきなり喬太郎師匠が放り込んじゃいました。マクラを振りながらなかなか一体感が出ないお客さんに、

 「……ここまでいまいち伝わってないようですが(笑)……お客様にこんなこと言っちゃいけないのは分かりますが、あえて言いますけど(大意)……頭悪いね……」

 字で書くとかなり乱暴なかんじですが、客席は一拍おいてから……ドカーン! 大爆笑。それを待ってたんだよ! とばかりに。長崎の人たち、「頭悪い」と言われて喜んでいる。どーかしてるなー。もう、みんな好きなんだなー、弥一が。

 こういうのは早い者勝ちで、一番いい時期、いい場所の「頭悪いね」は取られちゃいましたが、来年は是非いいお天気の長崎に伺いたいと思います。

 さて「派閥」というお題でしたが、いま私は谷川さんのお名前の脇に「元・安倍派」と書いただけでお茶を濁そうとしています。その件に関してはもう私が悪いんですよ。とにかく私はもう何も言いません。私が悪いんです。本当に。それ以上何もありません。これ以上責任とるにゃもう死ぬしかないです。私が悪いんです! ホントにけしからん男です! 私がですよ(自分を指さして)! まぁとにかくすいませんでした。

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春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

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