その「とんでもない事態」が実現するか騒がれたのが、冒頭で触れた山川FA移籍を巡るソフトバンクの人的補償だった。スポーツ紙デスクは振り返る。
「昨年、ソフトバンクにFA移籍した近藤健介の人的補償で日本ハムに移籍した田中正義が抑えで活躍したように、ソフトバンクは素材の宝庫です。西武は貧打が課題なので野手の強化に動く可能性が高いとみられていた。ところが、想像もしない名投手の獲得が報じられた」
ソフトバンクを象徴する存在
1月11日。日刊スポーツで、「西武がソフトバンクの和田毅を人的補償で指名する方針を固めた」というセンセーショナルなニュースが報じられた。日米通算163勝の42歳左腕はソフトバンクを象徴する存在だ。昨年も8勝をマーク。先発の柱として不可欠な存在とみられていただけに、衝撃的だった。この報道にソフトバンクのファンから悲しみや怒りの声が殺到したが、西武は同日に人的補償で投手の甲斐野央の獲得を発表した。ソフトバンク、西武の両球団はプロテクト枠、人的補償の詳細について言及していないため、真相は分からない。
当然のことながら、和田も自身に起きた内実を話せない。「人的補償で西武移籍を拒否した」という真偽不明の情報が駆け巡り、SNS上には批判のコメントが殺到する事態に。和田と親しいスポーツ紙記者は憤りを口にする。
「和田さんはこの一件について親しい選手にも打ち明けていない。臆測でいろいろ報じられていますが、今回の騒動の被害者ですよ。自主トレで人的補償の一件について聞かれていましたが、その前に球団が異例の事態から選手を守るために会見を開くべきだったと思います」