気になるのは和田の精神状態だ。今回の騒動が大きな波紋を呼び、シーズンに向けて気持ちを切り替えるのは簡単ではない。福岡のメディア関係者は「自主トレでは気丈に振る舞っていましたが、精神的なダメージは小さくないでしょう。責任感の強い男なのでいろいろ背負い込んでしまっていても不思議ではありません。西武戦に登板した際は、異様な雰囲気に包まれることは間違いない。西武ファンが山川にブーイングするのは仕方ないにしても、できれば和田へのブーイングは控えてほしいです。彼にこれ以上、心の傷を負わせるのは違うんじゃないかと。わがままな願いかもしれませんが」と複雑な表情を浮かべる。

大黒柱の投手が不在

 かつて、黄金時代を築いたソフトバンクだったが2021年以降は3年連続V逸。近年はFA補強に積極的に参戦しているが、チーム力が上がっている実感はない。大きな要因は生え抜きの選手たちの伸び悩みだろう。宮城大弥、山下舜平大、宇田川優希、東晃平らイキのいい若手が次々に台頭しているオリックスと対照的だ。昨年は先発陣で規定投球回数に到達した投手がゼロ。有原航平、石川柊太、東浜巨は30歳を超えている。育成入団から素質を開花させた大関友久は奮闘しているが、かつての千賀滉大(現メッツ)のように20代から大黒柱になっている投手が不在で、先行きが明るいとは言えない。まだまだ、大ベテランの和田の力が必要な状況だ。

「昨年の(和田の)平均球速は近年で最も速く、まだまだ進化している。球団の垣根を越えて野球にストイックに向き合う姿勢、並外れた練習量は若手の良きお手本です。今年も先発できっちり役割を果たしてくれるでしょう」(前出のスポーツ紙記者)

「松坂世代」唯一の現役選手として奮闘を続ける和田の挑戦は、まだ道半ばだ。

(今川秀悟)

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