大ベテランの和田毅
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 今オフの移籍劇で、最も大きな反響を呼んだのが西武からソフトバンクFA移籍した山川穂高の人的補償だろう。

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 FAで選手が他球団に流出した球団は戦力ダウンを免れない。戦力均衡の観点から設けられたのが人的補償と金銭補償だ。この補償が必要になるのは、Aランク(在籍していたチームで旧年俸が日本人選手の中で上位3位以内)とBランク(同4~10位)に該当する選手をFAで獲得したケースが該当する。Cランク(同11位以下)は人的補償、金銭補償の必要がないため、他球団は獲得しやすい。今オフ、日本ハムにFA移籍した山崎福也が古巣のオリックスを含めて6球団の争奪戦になったのは実力が評価された点はもちろんあるが、Cランクだったとみられていたことも大きく影響している。

 FAで選手を獲得した球団がプロテクトできる選手の人数は28人。外国人選手、新人選手、育成契約の選手はプロテクト枠から外れていても、人的補償で獲得の対象外になる。

駆け引き

 在京球団の編成担当はこう語る。

「ファームで鍛錬を積み、将来1軍で活躍が期待される若手選手たちもプロテクトしなければいけない。28人の枠はすぐに埋まってしまいます。チームの将来を考えた時、主力クラスの選手を外す場合が出てくる。ただ条件としては、他球団が『絶対に獲得しない』という確信があること。例えば、救援陣がそろっているチームへの人的補償で、ベテランのリリーバーはプロテクト枠から外れても高年俸だし獲得に乗り出される確率は低い。駆け引きですよね。ただ、この判断を見誤るととんでもない事態になる」

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