専門学校時代、2人で曲を作ったり、一緒に路上ライブをやったりしていました。僕が芝居の道に進んでしまったので、疎遠になっていたし、ナルバリッチとして活動もしていたから、声をかけていいものかどうか、少し迷ったんですけど、久しぶりに電話をして「もう一回、音楽をやろうと思うから手伝ってほしい」と伝えました。

JQ:うん、うん。

松下:ナルバリッチ結成前に、JQさんとカンちゃんは「Fly Audio Toaster」というユニットを組んでいましたよね?

JQ:えっ! 知ってるの? それはやばいな、鳥肌たった(笑)。スタッフもびっくりしてるよ。

松下:「Fly Audio Toaster」、めちゃくちゃかっこよかったです。当時、知り合いからカンちゃんがやってるよ、と教えてもらって聴いてました。音楽活動を再開する時、頼みの綱はカンちゃんだ、と思ったのは、あのかっこいいビートが印象的だったことも大きいですね。

JQ:なるほどね。僕とカンちゃんの最初の出会いがそこなんだよね。カンちゃんはギタリストとして自分の立ち位置を模索している頃だった。別の仕事でビートを作るのを手伝ってもらったんだけど、すごく上手いし、一つのユニットとして一緒に仕事しようか、と。

松下:そうなんですね。カンちゃんつながりで、ナルバリッチのライブにも行かせてもらいましたが、本当に楽しかったです。

JQ:僕らは自由すぎるよね(笑)。スタッフがかわいそうなんだけどね。照明さんに立ち位置を指定されているのに、なんだかワクワクしちゃって、違うところに立ってみたりね(笑)。

松下:(笑)。JQさんからは、自分に正直なバイブスを感じます。そういう人がつくる音楽だからこそ、アルバムを聴いていてもフリーな気持ちになることができます。ナルバリッチがたくさんの方々に必要とされている理由のひとつでもあると思います。

JQ:ありがとう。めっちゃうれしいわ。

 洸平くんの音楽は今回の2ndアルバムもそうだけど、テイストがすごくリアルで今っぽい。でも、同時に時が止まっているような部分をすごく感じてたんだ。話を聞いて、俳優一本でやっていた10年間がそうさせたんだな、と思ったよ。2010年代のクセが全くなくて、その前の00年代のR&Bの歌い方が、随所に出てるんだよね。

松下:そう言われると、確かにそうかもしれないです。僕が最後に音楽に触れていたのは、00年代の終わり頃なので。

JQ:ボーカルは、ワントーン目の出し方や音の切り方に絶対にクセがあるんですよ。それは、元々持っていたものではなくて、しこたま練習したことがクセとして残る。洸平くんの歌を聴いてると、そうそう、あの頃の音の切り方だな、と思うんだよね。バラードからポップスへの昇華の仕方や、ピアノの弾き語り系の曲で持ってくるコードなんかも、まさに00年代のR&B。当時の匂いがぷんぷんして、タイムスリップ感があって、青春を思い出すような感覚になる。そこに今の感覚を取り入れていて、全く新しいものができている。それが、すっごくいいよ!

松下:そんなこと言ってもらえて、めっちゃうれしいです。ありがとうございます。

AERA 2024年1月29日号

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