全世界株式vs米国S&P500の資金流入(図の解説は本文末尾に)
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新NISA(少額投資非課税制度)」がこの1月からスタートした。手続きはまだという人も、済ませたという人も、いまいちど制度の内容を復習したい。今回は「全世界株式」投資信託の選び方について(2023年10月16日に配信した、アエラ増刊「AERA Money 2023秋冬号」の記事の再掲です。肩書、情報等は当時)。

【表】新NISAの本命・全世界株式投資信託ベスト7はこちら

〈編集部追記〉本誌発売後に楽天投信投資顧問「楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド」が設定され、2023年12月1日には信託報酬0.0561%(年率、税込み)へ引き下げ。本投資信託は新NISAのつみたて投資枠、成長投資枠に加え楽天証券のiDeCo対象になった(2024年1月26日~)ことで今後、残高を伸ばすことが予想されます。

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 2022年の米国株の下落も影響したのか、全世界株式の人気がS&P500を上回る月があった。その魅力はどこに。買うべき投資信託7本も紹介。アエラ増刊「AERA Money 2023秋冬号」より。

 新NISAでつみたてるインデックス型投資信託(以下、投信)の筆頭候補は、世界中の株に分散投資ができる「全世界株式」だと本誌は考えている。

 2023年までのつみたてNISAでは米国の「S&P500」がダントツ人気だ。

 中でも、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は2023年8月14日に純資産総額2兆5000億円を突破し、日本の公募投信(除くETF)でナンバーワンの規模を誇っている。

 米国株100%の投信の次に人気なのが全世界株式。その代表格「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は純資産総額が1兆4000億円を超えている(2023年8月末現在)。全世界株式は国内投信全体で見ると3位。

 2022年にはS&P500に陰りが見られた。米国の物価高とそれに伴う金利上昇で、この年のS&P500はドルベースで年間19%も下落したのだ。

 ただ、その下落は長く続かず。2023年1〜6月のS&P500は高金利をものともせず16%も上昇した。この半年の上昇率は2000年代で過去2番目に高い。

「さすが米国株!」という勢いを見せているが、ここ10年間、世界最強だった米国株の勢いにかすかな衰えが見えるのも確か。

 そうした状況はつみたてNISAなどを経由した資金純流出入額(設定額から解約・償還額を引いた金額)にも反映されるものなのだろうか。

 そこで、低コストかつ正直な運用に定評のある「eMAXIS Slim」シリーズを運用する三菱UFJアセットマネジメントのデジタル・マーケティング部の野尻広明さんに貴重なデータを公開してもらった。

オルカンは低解約率

「2023年6月時点で、『eMAXIS Slim』シリーズの『全世界株式(オール・カントリー)』の純流入額は611億円。

 一方、『米国株式(S&P500)』は583億円。全世界株式が米国株式を上回りました。5月も、全世界株式のほうが米国株式より少し上という結果でした」

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