また、CKDになるとからだの中に老廃物がたまり、これが血液中にも出てきます。血液検査では老廃物がどのくらいあるかの指標となる「クレアチニン値」をもとに腎臓の機能を算出し、「eGFR(推算糸球体濾過量)」(腎臓が1分間、1.73㎡あたり糸球体で濾過される血液量)として、下記のようにCKDの重症度別に6段階にあらわします。

90㍉リットル以上(G1・正常または高値)
89~60(G2・正常または軽度低下)
59~45(G3a・軽度~中等度低下)
44~30(G3b・中等度~高度低下)
29~15(G4・高度低下)
15未満(末期腎不全)

「G4になると人工透析を含む『腎代替療法』について考えてもらう段階です。ステージ6の末期腎不全になったら、導入を検討することになります」(篠﨑医師)

 ただし、健診はあくまでスクリーニングであり、病気の確定ではありません。健診で異常を指摘されたら、医療機関でさらに詳しく診てもらい、病気の有無と重症度を確定してもらいましょう。

 腎機能障害を早期に診断し、できるだけ早く治療を開始することが、将来の腎機能の低下を防いだり、進行を遅らせたりすることにつながります。

「クリニックでCKD・G3b以上と診断がついたら、腎臓内科の専門医に紹介されると思います。糖尿病ですでに通院している場合でも、急激な腎機能がある場合、別の病気が原因ということもあります。まずは専門医のもとで、原因を明らかにしてもらってください」(篠﨑医師)

 CKDの治療は、たんぱく制限や塩分制限など、食事療法を含む個々の患者に合わせた生活療法、薬物治療による血圧管理や血糖値の管理、貧血改善や脂質の管理などを総合的におこないます。

「血糖値や血圧のコントロールがいい人はCKDが進みにくいですが、中にはきちんと治療をしていても、腎機能低下のスピードが速い人もいます。これは原因となる病気の違いによります。こうしたこともあり、糖尿病や高血圧の人は通院している医療機関で定期的に腎機能をチェックしてもらうことが、安心につながります」(篠﨑医師)

いまの生活スタイルを維持しやすい「腹膜透析」という手段も

 CKDがさらに進み、人工透析を含む腎代替療法が必要といわれたら、どうすべきでしょうか。人工透析には透析クリニックに通院しておこなう血液透析(HD)、患者自身の腹膜を使い、在宅でおこなう腹膜透析(PD)があります。さらに腎移植という方法もあります。

「大事なのはどれか一つだけでなく、すべての療法に精通している病院で納得のいくまで話をよく聞き、より自分に合った方法を選ぶことです。また、いずれかを選んでも、生活環境の変化などに合わせて他の治療法に移行できることも知っておいてください」(篠﨑医師)

(取材・文/狩生聖子)

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