「慢性の病気はCKD(慢性腎臓病)として知られています。数カ月から数十年の長い年月をかけて腎臓の働きがゆっくりと悪くなる腎臓病で、日本では軽度のものも含めると、1330万人(20歳以上の成人の8人に1人)がいると推計され、新たな国民病ともいわれています」(篠﨑医師)

 日本透析医学会によれば、2021年度の透析導入者の原因疾患は1位「糖尿病性腎症」(39.6%)、2位「慢性糸球体腎炎」(24.6%)、3位「腎硬化症」(12.8%)、つまり、多くは生活習慣病が引き金なのです。

 糖尿病性腎症は糖尿病の合併症の一つです。血糖値が高い状態が続くことで糸球体の血管が傷つき、発症します。

 慢性糸球体腎炎は、糸球体に炎症が起こる腎臓病の総称で、約半数はIgA腎症です。血液中のたんぱく質の一種である免疫グロブリンの一種、IgAが糸球体に沈着することで、腎機能が低下します。原因は不明で小児から成人まであらゆる年代で起こります。

 腎硬化症は高血圧によって動脈硬化が進行し、糸球体が傷つくことで発症します。

「糖尿病性腎症による透析導入者の数は近年、横ばいで推移しています。慢性糸球体腎炎は年々、減少。一方で右肩上がりに増えているのが腎硬化症です」(篠﨑医師)

腎臓病の早期発見には必ず健康診断の受診を

 透析に至らないようにするためには、CKDを早期に見つけることが大事です。「そのためには、健康診断を受けるのが一番です」と篠﨑医師は言います。

「CKDはかなり進行するまで自覚症状に乏しく、早期の患者さんはそのほとんどが健康診断で見つかっています。自営業の人や高齢者は地域の特定健診を必ず受けてください」(篠﨑医師)

 CKDかどうかは尿検査と血液検査で診断します。

「糸球体が傷つき、濾過機能が低下すると、本来、排出されることのないたんぱく質や血液が尿に漏れ出てきます。このため、CKDになると尿検査でたんぱくが検出されたり、血尿が出たりすることがあります。たんぱく尿の明らかなサインとしては尿が泡立ち、なかなか消えない場合です。また、コーラのような褐色の尿は血尿の疑いが大きいです。このような場合は、躊躇(ちゅうちょ)せず、かかりつけ医などを受診しましょう」(篠﨑医師)

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腎機能低下のスピードは人それぞれ