日本人の死因の第4位である脳血管疾患(厚生労働省「令和4年人口動態統計」)。大きく分けると脳の血管が詰まる脳梗塞と脳の動脈が破れる脳出血、くも膜下出血があります。発症して命は助かっても、後遺症で寝たきりになることもあり、要介護になった原因としては認知症に次いで2番目に多くなっています。脳血管疾患に気を付けたほうがいい人や症状、予防などについて、解説します。

【病院ランキング】くも膜下出血手術数全国トップ40病院 3位埼玉医大、2位福岡脳神経外科病院、1位は?

 本記事は、2024年2月下旬に発売予定の『手術数でわかる いい病院2024』で取材した医師の協力のもと作成し、先行してお届けします。

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 令和4年の死因別死亡者数のうち、脳血管疾患は10万7481人で、このうち脳梗塞が約6割、脳出血が約3割、くも膜下出血が約1割を占めます。いずれも最大の原因と考えられているのが高血圧です。高血圧は動脈硬化を進行させ、血管が硬く、狭い状態になっていきます。こうなるとさらに血圧は上がりやすくなります。血管が硬く狭いことで血栓ができやすくなり、それが血管に詰まると脳梗塞を発症します。高血圧で負荷がかかり、「穿通枝(せんつうし)」という細い血管が破れると、脳出血を発症します。

 一方、くも膜下出血は、脳の動脈の一部が風船状にふくらんだ脳動脈瘤が破裂することで、脳の表面を覆うくも膜の内側に出血が広がって発症します。脳動脈瘤ができる原因ははっきりとしていませんが、血管の分岐部やもろくなった部分にできやすいとされています。

 昭和大学病院脳神経外科主任教授の水谷徹医師はこう話します。

「脳動脈瘤は高血圧がある人のほか、血縁者に脳動脈瘤がある人がいる場合にできやすい傾向があります」

 脳血管疾患はいずれも発症後の緊急的な治療が後遺症や命を左右するため、それぞれどのような症状が起きやすいのか、知っておくことが大事です。

 発見が遅れると効果的な治療を受けられないこともあるので、手足や顔、言葉に異常があったとき、あるいはこれまで経験したことがないような激しい頭痛があったときは、救急車を要請するなど、できるだけ早く受診しましょう。

高血圧の治療と予防手術で発症を防ぐ

 脳血管疾患を予防するには、減塩や禁煙、運動などで高血圧を防ぐのはもちろん、高血圧と診断された場合は、治療によって血圧をコントロールすることが重要です。

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検査でたまたま脳動脈瘤が見つかった場合、治療すべきなのか