また、くも膜下出血に関しては、破裂の危険性がある脳動脈瘤があれば、治療しておくことが予防につながります。しかし多くの場合、破裂していない脳動脈瘤は、症状がありません。

「脳動脈瘤ができた位置によっては視神経を圧迫し、ものが二重に見えるといった場合がありますが、ごくまれです。未破裂の脳動脈瘤は、基本的には症状がありません。脳ドックあるいは、頭痛やめまいがある、転倒して頭をぶつけたといった場合にMRI、MRA検査を受け、偶然見つかったというケースがほとんどです」(水谷医師)

 通常、脳動脈瘤は2ミリ以上であればMRA検査で見つかります。脳の血管だけを立体画像で映し出す造影CT検査(CTA)では、脳動脈瘤の形状や部位などをより詳しく調べることができます。大きくなると通常のCT検査で見つかる場合もあります。

 脳動脈瘤は50代以上の人に見つかることが多く、脳ドックを受けた50代のうち、4.3%に脳動脈瘤が見つかったという報告があります。

手術するかしないかは破裂リスクで判断

 脳動脈瘤が見つかったからといって、必ず治療しなければならないわけではありません。

 小型の脳動脈瘤は破裂のリスクが低く、その後も大きくなりにくいと言われています。一方、大きくなるほど破裂のリスクは高くなります。前述の脳ドックで脳動脈瘤が見つかった4.3%の人のうち、3ミリ未満の動脈瘤が46%、3ミリ以上は54%です。

 日本脳神経外科学会の調査(UCAS Japan)によると、3~4ミリの小型動脈瘤を基準とした場合、7~9ミリは破裂率が3.4倍、10~24ミリで9.1倍となります。『脳卒中治療ガイドライン2021』では、5~7ミリ以上を治療の対象とすることを一つの基準としています。水谷医師は「大きさだけではなく、年齢や健康状態、部位、形状、本人の希望などを含めて慎重に検討する必要がある」と言います。

 小型の脳動脈瘤で治療しなかったとしても、半年~1年に1回は画像検査による経過観察を受けると安心です。1割程度の人は大きくなっていくことがあるからです。

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からだの負担が少ない 脳血管内治療の割合が増加