Jリーグにもハーフの選手は多い。日本代表のDFで現在ドイツ・ハンブルガーSVに所属する酒井高徳(24)は父がドイツ人、母が日本人。弟の宣福(23)もJ2福岡、高聖(19)もJ1新潟に所属している。横浜Fマリノス、FC東京、セレッソ大阪でプレーし、現在はスペインのレアル・サラゴサに所属する長谷川アーリアジャスール(26)は父がイラン人、母が日本人。磐田や本、スペインなどでプレーしたカレン・ロバートは父がアイルランド人、母が日本人のハーフだった。

 高い身体能力で今後が楽しみなハーフJリーガーもいる。まずJ1新潟からJ2水戸へ期限付き移籍中の鈴木武蔵(21)。ジャマイカ人の父と日本人の母を持つ鈴木はU―19、U―20日本代表FWとしてプレーし、2013年の東アジア選手権では3試合で3ゴールをあげる活躍を見せた。J2千葉のFWとして起用されるようになったオナイウ阿道(20)はナイジェリア人の父と日本人の母を持つ。まだ、J初ゴールは決めていないもののゴール前の競り合いを驚異的なジャンプ力で制するなど、存在感を見せ始めている。

 プロ野球ではダルビッシュ有(28)。イラン人の父と日本人の母を持つハーフであることはよく知られている。昨年の世界柔道100キロ超級銀メダリストで重量級のホープ・七戸龍(27)は父が日本人、母がベルギー人だ。

 長距離界にもハーフの有望選手がいる。昨年8月、中国・南京で行われたユース五輪の女子3000mで優勝した高松望ムセンビ(17)だ。ケニア人の父を持つ高松は中学時代から都道府県女子駅伝などで活躍してきたが、高校生になった今も順調に競技力を伸ばしている。妹の高松智美ムセンビとともに日本長距離界期待の星だ。

●堂々たるパフォーマンスで肌や目の色は関係ないと教えてくれる

 もっとも、ハーフのアスリートが活躍するのは今に限ったことではない。プロ野球の連続試合出場記録(2215試合)を持ち「鉄人」と呼ばれた衣笠祥雄氏は父はアメリカ人、母は日本人、剛球で鳴らしメジャーでも活躍した伊良部秀輝氏も父はアメリカ人、母は日本人のハーフだった。また、2004年アテネ五輪や2011年大邱世界陸上で金メダルを獲得するなど数多くの栄光を持つハンマー投げの室伏広治は「アジアの鉄人」と呼ばれた室伏重信氏とルーマニアのやり投げ五輪代表の母を持つ。

 ただ、最近ハーフのアスリートの活躍が目立つのは、民間レベルでもグローバル化が進み国際結婚のハードルが低くなったこともあるだろう。また、ハーフというと昔は偏見の目で見られたといわれるが、そうしたことも少なくなっているのではないだろうか。

 衣笠氏や伊良部氏にはそんなエピソードも出てくるが、今のハーフ選手は総じて明るくそのような陰は感じられない。もちろん、差別がまったくないと断言はできないが、ハーフであろうと偏見を持たずに受け入れる環境が日本にもできつつあるのではないだろうか。

 実際、サニブラウンやオコエ瑠偉の発言を見ると、まったく屈託がない普通の日本の高校生だ。ハーフであることを気にしている部分は感じられないし、むしろ並外れた身体能力を与えてくれた両親に感謝しているようでもある。

 日本人にはない身体能力を伸び伸びと表現する彼らの姿は見ていて爽快感さえ覚える。また、その堂々としたパフォーマンスは、肌や目の色が異なることは競技とは関係ないと教えてくれている面もある。こうしたハーフアスリートは増えることは、日本のスポーツ界にとって良い事であるにちがいない。