デンマーク王室のマルグレーテ2世が皇太子に王位を継承。新国王フレデリック10世が誕生した=1月14日、コペンハーゲン(写真/アフロ)
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 圧倒的な人気を誇っていたデンマーク王室の女王が、この度、皇太子に譲位した。偉大な女王の生前退位は、欧州各国の王室の「これから」を映し出した。

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 5カ国語を話し、舞台衣装をデザインする芸術的才能の持ち主。おおらかで気さくな人柄が国民に慕われてきたデンマーク王室の女王マルグレーテ2世(83)が、1月14日に退位した。これにより長男フレデリック皇太子(55)が即位。国王フレデリック10世となった。

 英王室のような大掛かりな戴冠式は行われなかったが、国王は集まった数万人の観衆に宮殿のバルコニーから手を振って、国民の祝福に応えた。

生前退位900年ぶり

 女王が退位をすると発表したのは昨年12月31日のこと。テレビを通じてのライブ演説の際、時折、穏やかな笑顔を見せながら、今年1月14日に皇太子に譲位すると、突然明かしたのだ。

 生前退位はオランダやベルギーの王室などでは例があるが、デンマーク王室では1146年のエーリク3世以来、約900年ぶり。国民からの支持率が75%を超える女王は、圧倒的人気のまま退位することになった。

女王を退位したマルグレーテ2世(写真/アフロ)

 この生前退位の影響を少なからず受けているのが、英王室だ。

 チャールズ英国王(75)は昨年戴冠してから、公務や国賓の接待を行い家族イベントも主催するなど多忙を極める。支持率も60%前後で、まずまずの滑り出しだ。ただ、国王夫妻は外国訪問が少ない。故エリザベス女王の精力的な外遊と比べると物足りない印象だ。一因に、75歳という年齢が関係しているのではないかとの声も上がる。

 チャールズ国王は戴冠時から、年齢を理由にあと5年から10年で引退するとの臆測が流れていた。そもそも以前から「スキップ・ア・ジェネレーション(1世代飛ばし)」として、ウィリアム皇太子(41)に王位を譲るべきとの声さえ出ていた。

 しかし、チャールズ国王が漏らしたとされるのは、「まだ何も成し遂げていない」という本人の認識だ。実際、「ダイアナ妃との結婚に失敗した」とのマイナスイメージが付きまとう。妃がパリで交通事故死してから今年で27 年が経つが、国王は妻を裏切って不倫に走り、結果的に妃を36歳の若さで死に追いやったとの印象をいまだに払拭できない。

 だからこそ、環境や青少年問題に取り組む献身的な国王という前向きな評価を得る必要があり、独自のレガシーを打ち立てなければいけないのだ。今回のデンマーク王室の生前退位にプレッシャーを感じているはずだが、今のところ国王の視野に生前退位は入っていないようだ。

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