死後4年が経とうとしている、アップル社の創業者で元CEOのスティーブ・ジョブズ。この秋二つの"ジョブズ映画"がアメリカで公開されることが話題になっています。
ひとつは、『スラムドッグ$ミリオネア』などの代表作がある、ダニー・ボイル監督による『Steve Jobs』。もうひとつは、『Steve Jobs:The Man in the Machine』。こちらは、『エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?』『「闇」へ』などの作品がある、レックス・ギブニー監督が手がけています。
二人のアカデミー賞受賞監督が奇しくも同時期に出すジョブズ映画。前者は世界中でベストセラーを記録した、ウォルター・アイザックソンによる伝記を基にするドラマ作品。多くの人のイメージにある、エネルギッシュなジョブズが描かれていますが、少し気になるのは主演のマイケル・ファスベンダーがジョブズにあまり似ていないこと。本編を見たら、その違和感がなくなることに期待、というところでしょうか。
対して、後者は過去のジョブズ自身のインタビュー映像などを交えたドキュメンタリー作品で、監督の批判的精神が反映されているよう。ジョブズを愛するファンにとっては、どんなふうに映るのか? こちらも興味深いところです。
偉大な発明家であり、実業家であったジョブズ。見方によっていろいろな姿が映し出されますが、放送作家でライターの田中イデアさんが書いた『偉人の選択100 STEVE JOBS -スティーブ・ジョブズ-』では、また違う趣のジョブズが。彼が人生において下してきた「選択」をクイズ形式で出題している本です。
たとえば、2002年、ジョブズが47歳の時に、iPadを作ろうと思いたったわけですが、そのきっかけは何だったか?という問題。実は、マイクロソフトのビル・ゲイツも参加していたパーティーで、マイクロソフトの人間に「タッチペンを使うタブレットでノート型パソコンを一掃する」とジョブズは告げられたそう。それを聞いたジョブズは怒りに震え、その怒りのパワーを利用して、タッチペンもキーボードもないiPadの開発を始めたのです。
怒りという本来ネガティブな感情でさえ、画期的な発明につなげるジョブズはやはり偉大。亡くなってもなお、人々に影響を与え続ける人と言っていいかもしれません。