2011年10月、「陸山会事件」の公判でSPと一緒に東京地裁に入る小沢一郎氏(当時の敬称は民主党元代表)

「特捜部は最初から、(政治資金収支報告書への不記載は)小沢先生に了承を得ていたはずだろう、と決めつけるような取り調べでした。政治資金収支報告書の作成で、小沢先生がこと細かく指示することなんてまったくないです。他の報告、連絡事項の合間に『今年はざっとこんな感じです』と説明して、小沢先生は内容が書かれた報告書もほとんど見ずに『そうか』で終わり。私の供述調書でもそう記されました」
 
 そうすると、特捜部は別の方面から揺さぶりをかけてきたという。
 
「取り調べの検事も困り果てていました。すると特捜部はマスコミの1社に、『小沢氏、了承』と4億円の不記載を小沢先生が主導、了承したと、曲解した内容をリークしたんです。こちらは外の様子がわからないのでびっくりするばかりでした。議員を捕まえるときは、マスコミを使って悪者に仕立てるのだと思いました」(石川さん)

「小沢の妻を取り調べる」と検察に言われ

 特捜部に対して弱みなどなかった石川さんだが、最大のピンチが訪れた。検事から「小沢の妻を取り調べるつもりだ」とささやかれたときだという。
 
「面食らいました。当時、小沢先生は奥さんとうまくいっておらず、もし呼ばれたらえらいことだなと。そこだけは必死で守りました。特捜部は、筋書きに合った供述を取るためには、弱みをつかんで交換条件のようにしてくるなど手段を選びません。別の国会議員の事件では、その秘書が、自分の妻ではない女性とのあられもない姿の写真を家宅捜索で押収され、それを取り調べのときに突き付けられて供述を求められたのは有名な話です」
 
 現在、捜査が続いている安倍派の“裏金”事件で、すでに特捜部の取り調べを受けたというある議員秘書は、
 
「次は議員本人に来てもらうので、誰の言っていることが本当なのかこれでハッキリするよ、と検事から言われました。自分のしゃべったことで議員のバッジが飛ぶのではと怖くてなりません。そうなれば私も秘書でなくなり、失業です」
 
 とプレッシャーを感じていると吐露した。

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捜査関係者は「捜査は大詰めです」