自民党の「清和政策研究会」(安倍派)が政治資金パーティー収入の一部を裏金化したとされる事件で、東京地検特捜部が衆院議員の池田佳隆容疑者と、その政策秘書を政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕した。ただ、注目の安倍派幹部の立件については、「断念」との報道が出始めている一方で、捜査関係者からは「断念したわけではない」との声もある。小沢一郎衆院議員の秘書を長く務め、「陸山会事件」で特捜部に逮捕された経験がある元民主党衆院議員の石川知裕さんは「私のときと同じような事件に思えてならないですね」と話す。「検察は弱いところを突いてくる」という石川さんに、特捜部の取り調べについて聞いた。
【写真】小沢一郎氏「陸山会事件」で逮捕の元秘書が語る 手段を選ばない東京地検特捜部の取り調べとは
石川さんは、小沢氏の資金管理団体「陸山会」の土地取引事件で、政治資金収支報告書に4億円を記載していなかったとして、2010年1月に政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で特捜部に逮捕された。
特捜部は、中堅ゼネコンの水谷建設(本社・三重県)がダム建設工事へ参入した時期に、同社から小沢氏側が5千万円の裏金を受け取ったのではないかとみて捜査を広げた。
小沢氏については、検察が不起訴と判断したが、検察審査会で強制起訴となり、裁判で無罪に。しかし衆院議員だった石川さんや大久保隆規氏(現・岩手県議)ら計3人の元秘書は執行猶予付きの有罪判決が下された。
「4億円の不記載は本当に書いていなかったから仕方がなかったが、水谷建設からの賄賂はあり得ないこと。徹底的に特捜部とやりあいました」
と石川さんは言う。
5~6時間ぶっ続けでフラフラ
今回の安倍派の“裏金”問題では、池田容疑者と、会計責任者である政策秘書も一緒に逮捕された。特捜部は家宅捜索や、会計責任者、秘書の事情聴取をして証拠をおさえてから議員へと攻めあがる捜査をしている様子だ。
「会計責任者や秘書の捜査を特捜部が先行させているのは、弱いところからやっているのでしょう。カギになる会計責任者、秘書のなかには、『もう逃げられないぞ』『立件や逮捕でニュースにも名前が出る』などと言われ、きつい取り調べをされている人もいると思います。私も取り調べの際には『弁当持ってこい』と検事から脅しまがいのことを言われ、5時間、6時間、ぶっ続けで受けてフラフラでした」
石川さんは自らの経験からそう語る。