自民党安倍派の事務所に家宅捜索に入る東京地検特捜部の係官ら=2023年12月19日

 通常国会の開会が1月26日との見通しが強まるなか、安倍派「5人衆」ら幹部の立件は難しいという報道が多くなってきた。

 だが、5人とも派閥からキックバックを受けていたり、パーティー券を売りながら派閥に収めなかったりしていたとみられており、ある捜査関係者は、

「報道されることで、世論的には『幹部の立件はできない』との見方をされてますが、そうではありません。5人衆の立件を断念というのは、安倍派という組織、清和政策研究会の事件についてです。個々の政治資金収支報告書の内容についてはまだ捜査しています。国会の日程が出ており、捜査は大詰めです」

 と打ち明け、5人衆ら幹部それぞれについては、まだ調べが続いているとのことだった。

「立件断念」報道は“観測気球”? ゆさぶり?

 また、「立件断念」の報道は、「特捜部が世論の動向を見極めるためにリークした」「安倍派へのゆさぶり」との見方もある。
 
 元検事の落合洋司弁護士は、
 
「安倍派のキックバック事件はこれだけ大きくなっている。金額が大きかった議員数人のバッジが飛ぶ程度では特捜部のメンツが立たない。そこで5人衆ら幹部の個人の政治資金規正法違反を問えないか特捜部は狙っているのではないか」
 
 と指摘する。

 今回の政治資金収支報告書への不記載については、指示や了承があったのか、共謀が成り立つのか、が焦点となっており、石川さんが小沢氏との「共謀」を認めるかどうかが最大のポイントだった陸山会事件のときと同じだ。

 石川さんがこう話す。

「私のときは特捜部の検事から、小沢先生の了承=(イコール)共謀を認めろ、と言われ続けました。会計責任者や秘書には、『議員や事務総長から指示や決裁があったはず。共謀を認めよ、その供述調書にサインしろ』とやってきます。サインしないと弱い部分を突いて、逮捕をちらつかせもします。そりゃびびりますよ。でも、もし違うならそれには屈せず、本当のことを話す、を貫くべきですね」

(AERA dot.編集部・今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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