政治家の役割も問われた。今回の災害では救援者以外は被災地入りを控えるべきとの世論が高まった。5日に現地入りしたれいわの山本太郎氏も批判されている。確かに現地入りしなくても情報は取れる。とはいえ政治家には被災者の鼓舞という役割もある。目立ちたがりのユーチューバーが排除されるのは当然だが、一斉自粛は正しかったのか。岸田文雄首相は13日に被災地を訪問するらしいが、遅いとの印象は拭えない。

 能登半島は高齢化と人口減少が進んだ地域だった。それが壊滅的な打撃を受けた。一部にはこれを機に移住を促すべきとの意見も見られるが、そんな議論はさすがに時期尚早だろう。元日に家族を奪われた人々の声には胸が潰れる。いまは一日も早い復興を祈りたい。

AERA 2024年1月22日号

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東浩紀

東浩紀

東浩紀(あずま・ひろき)/1971年、東京都生まれ。批評家・作家。株式会社ゲンロン取締役。東京大学大学院博士課程修了。専門は現代思想、表象文化論、情報社会論。93年に批評家としてデビュー、東京工業大学特任教授、早稲田大学教授など歴任のうえ現職。著書に『動物化するポストモダン』『一般意志2・0』『観光客の哲学』など多数

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