「証拠として、関係者の証言の真実性や、LINEのやり取り。事案があった翌日に女性が友人に送ったとされるLINEの内容にも焦点が当たるのではないか。また、文春側がどれほど取材を尽くしたかも重要になると考えられます」(清水弁護士)

 裁判で記事が真実だと立証できない場合は、文春側が原則として賠償責任を負う。

 ただ、「真実相当性」といって、記事の内容が真実だと信じるに足る正当な理由や根拠があれば報じるのも致し方なしとして、責任を問われないケースもあると清水弁護士は解説する。

 こうした雑誌社などを名誉毀損で訴える裁判は、雑誌側も争う姿勢を崩さないため、長引くことが少なくない。

裁判は3年以上かかることもざら

「3年以上かかることもざらにあります。争うポイントが多くなるほど、審理に時間がかかることになりますし、証人に尋問をするとなればその調整にも時間がかかることになります」

 メディアの誤報や、ネットで誹謗中傷した側の賠償額が低すぎるとの批判が、かねてある。「書いた者勝ち」との指摘もある。

 清水弁護士によると、ネットでの誹謗中傷による賠償額は30~50万円が相場で、高くても100万円程度。雑誌は高くて300万円~500万円だという。

「ネットの誹謗中傷の場合、発信者情報の開示請求にお金がかかりますから、費用対効果の面から泣き寝入りしてしまう人が少なくありません。もっと賠償額をあげるべきです。雑誌も社会への影響力や、その記事によって売り上げが伸びることを考慮すると、金額が安すぎると感じています」

 休業してまで裁判に専念することを明らかにした松本さん。今後の動向には大きな注目が集まる。ただ、あくまで疑惑の段階であり、裁判はこの先の話だ。

「SNSなどで松本さんを犯罪者扱いするような投稿が散見されますが、内容が真実ではなかった場合、投稿者は法的責任を問われるリスクがあります。安易な発信はすべきではありません」

 清水弁護士は、SNSの過熱ぶりに釘を刺した。

(AERA dot.編集部・國府田英之)

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