ペットはもはや大事な家族。読者とペットの愛おしい日常のひとコマをお届けします。今回の主役は、犬のタロウくんです。
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「目が合ったんだ!」
父が15年前、ペットショップで一目ぼれし、その日のうちにわが家に迎えたコーギーのタロウ(15歳、雄)。父は朝晩、散歩に連れていき、家の中ではいつも一緒。タロウは間違いなく父の一番の理解者でした。
一昨年の秋、父が体調を崩しました。緊急入院となった父は「タロウの散歩があるのでいったん外出してから来ます」と本気でお願いしました。その後も入退院を繰り返し、とうとうタロウの散歩にも行けなくなりました。すると、今度はタロウが体調を崩し、肺炎を起こして入院することに。獣医師に今夜が山場と言われ、一時退院していた最愛の父に最後に会わせようと、父を連れて面会に行きました。
酸素テントの中で、点滴をつなげられてぐったりしているタロウ──。父が「タロウ! タロウ!」と呼んだ瞬間です。ガッと立ち上がり「ワンッ、ワンワンッ!」と元気に鳴きだしたのです。
お尻を振り、前脚でガラスをたたいて、父にこれでもかというくらい愛情を示しました。父には少し無理をさせてしまったけど、最期に会わせてあげられて、父もタロウも喜んでくれたかな、と思いました。
次の日、動物病院から電話がありました。「タロウちゃんですが……肺がキレイになりました! 回復しています!」
信じられない連絡でした。やがてタロウは無事に退院。「重い肺炎からここまで回復したのは奇跡」と言われました。
それから1カ月、父は亡くなりました。最期の力でタロウに少しだけ命を分けてあげたのかな。
あれから1年。タロウは時々寂しそうな顔をしますが元気いっぱいです。(神奈川県横須賀市/45歳/会社員)
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※週刊朝日 2023年4月7日号