前立腺がんは、男性で罹患数第1位のがんです。高齢者に多いですが、40代、50代の働き盛りの人に見つかることも少なくありません。緩やかに進行し、早期発見で治療することで治りやすいのが特徴です。

【病院ランキング】前立腺がん治療数全国トップ40病院 2位・国がん東病院を抑えた1位の病院は?

 本記事は、2024年2月下旬に発売予定の『手術数でわかる いい病院2024』で取材した医師の協力のもと作成し、先行してお届けします。

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 2019年に前立腺がんと診断された人は、9万4748人でした(国立がん研究センターがん情報サービス)。罹患数は増える傾向にあり、2030~34年には17万4410人に増えると予想されています(国立がん研究センターがん情報サービス「平成28年度科学研究費補助金基盤研究(B)〈一般〉日本人におけるがんの原因・寄与度:最新推計と将来予測」)。

 前立腺がんにかかる人は、40代後半から徐々に増加し、60歳くらいから大きく増えます。10万人あたりの罹患率は、60代前半は187.6、60代後半は348.7、70代前半は538.1、最も多い70代後半は660.8です。高齢者には及びませんが、40代後半で3.7、50代前半で23.3、50代後半で75.3と、現役世代も無縁とは言い切れません。

 前立腺は、男性のみにある臓器で膀胱の下にあり、内部には尿道が通っています。精液の一部となる前立腺液を分泌するとともに、収縮や弛緩により排尿や射精を調整する役割も担っています。

 前立腺がんは、前立腺内で増殖し、やがて前立腺を覆う膜を越え、精嚢(せいのう)や膀胱、周囲のリンパ節などに広がります。さらに進行すると、骨や肝臓、肺などに転移します。

 前立腺液にはPSAという物質が含まれており、前立腺がんになるとPSAが増え血液中に混じるようになります。前立腺がん検診では、この値を調べます。前立腺がんの早期には、ほとんど症状がないため、多くは前立腺がん検診をきっかけに見つかります。

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前立腺肥大症がきっかけでがんが見つかることは多い