支援物資をトラックに積み込む自衛隊員/1月3日、石川県金沢市
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 地震は、時を選ばず起きる。真冬の地震に備えるにはどうすればいいか。防災コンサルタント事業を行う「防災クリエイティブマネージメント」(大阪府大阪狭山市)の防災アドバイザー、岡本裕紀子さんは「低体温症予防が何より重要」と強調する。

【独自調査】今後30年間で震度6弱以上の地震発生確率が高い地域

「冬にライフラインが停止した状況下で低体温症になると、体を温めることが難しくなり救命困難になる恐れがあります」

 低体温症を防ぐには、ダウンのコートやフリース、肌着や靴下などの防寒着や、毛布やタオルを準備しておくことは非常に重要度が高いという。

「また、新聞紙とラップを利用して、例えば、おなかに新聞紙を巻き、その上からラップを巻いて腹巻き代わりにするなど、応急的ですが、身近なもので保温することができます」(岡本さん)

 車中泊は、命にかかわる可能性のあるエコノミークラス症候群を発症するリスクもある。ただ、やむを得ない場合に備え「事前の準備」が大切だという。

「車に防寒着を常に載せ、ガソリンも半分を下回ったら満タンにしておく。少しでも快適な就寝環境を整えられるよう、車内空間のレイアウトを事前に検討することも有効です」(同)

同時多発的に火災発生

 能登半島地震では、輪島市で大規模な火災が起き、約200棟が全焼した。

 岡本さんは、地震の際には被災地内で同時多発的に火災が発生することがあり、消防力の限界を超えることもあるため、一件でも出火を抑制することが重要になると指摘する。そのためには、防災訓練で繰り返し消火器の使い方を学んでおくこと、避難で自宅を離れる場合はブレーカーを落とすことが大切、という。

 そして、今回の地震で「旅行先や出張先での被災に備えることの重要性」を改めて痛感したとして、こうアドバイスをする。

「まずは出発までにハザードマップで宿泊先を中心に避難所の場所をチェックする。その際、直近の避難所が満員の場合に備え、最も近い避難所を含め、3カ所ほどピックアップしておくことがポイントになります」

 そして現地では、散策を兼ね宿泊先から避難所まで歩いて避難経路を確認する。宿泊先では非常口の場所を確かめ、面倒だと感じるかもしれないが、非常口まで歩いて部屋からの距離や方向を体得しておくことも大事と、岡本さんは言う。

「防災対策には主体性が求められます。防災意識を継続して持ち続け、少しずつでもよいので着実に備えを積み上げていくことが大切。そうすることで自分自身を、家族を、地域を守ることができます」

(編集部・野村昌二)

※AERA 1月15日号より抜粋