宗教団体「エホバの証人」の元2世信者らで作る団体が28日、東京都内で会見を開き、教団内での児童に対する性的虐待についての調査結果を公表した。幹部や年上の信者から幼少期に性暴力を受けたり、未成年の時に幹部から性行為の経験の有無を問いただされたりしたなど、性的虐待を受けたとの回答が多数あったことを明かした。一般社会とはかけ離れた教団内の実態が垣間見えた。
【写真】「性欲のはけ口として……」エホバの証人の出版物はこちら
アンケートを実施したのは元2世信者らでつくる「JW児童虐待被害アーカイブ」。今年7月、インターネット上で元2世信者らに対して行った。
同団体は28日午前、こども家庭庁に調査結果と、公的な調査などを求める要望書を提出した。
アンケートの質問は、
(1)信者による性暴力や性的虐待を受けたことはあるか
(2)集会での大人たちの言葉や教団内の出版物に書かれていた文言について、性的虐待だと感じたことはあったか
(3)信者が、教団の禁止事項を破った疑いを持たれた際に開かれる審判「審理委員会」で、性経験を話すよう強制され、それを性的虐待だと感じたことはあったか
3項目に分類して回答を求め、計159人から有効回答を得た。
「長老」からの被害も
さらに、「性的被害を受けた」と回答した人の中から、面接が可能だった女性10人、男性1人の計11人に、公認心理士の立ち会いのもと、被害について証言してもらった。
(1)について、「受けた」と回答したのは37人。うち35人(女性30、男性5)が被害当時、未成年だった。
主な被害の内容(複数回答可)は「性交渉をさせられた」=4件、「衣服の上から、または直接、体を触られた」=24件、「下着姿や裸を見られた、撮影された」=11件、「加害者の体などを触らされた」=8件、だった。
加害者との関係(複数回答可)で最も多かったのは「顔見知り」で23件。「長老」と呼ばれる地域の幹部からの被害も12件あった。場所は信者の自宅が最も多く、身近な場所での被害が多いことが明らかになった。
(2)について「性的虐待だと感じた」と答えたのは139人。このうち、6歳までに被害を受けた人が49人と最も多く、全体の8割以上が12歳までの幼少期に被害を受けていた。
地域の信者らの集会では、教団内で性的に禁止されている行為について、大人と小さな子どもが一緒に学ばされる。また、エホバの証人の出版物には、性的に禁止されている行為が明確に示されている。