少し前のことですが、
7月14日、上海のホテルで
ニコン フォトコンテスト(NPC)の
表彰式に参加してきました。
NPCはカメラメーカーのニコンが主催する
世界最大規模の国際写真コンテスト。
1969年から続いています。
正式名称は「Nikon Photo Contest 2014-2015」。
え? そんなコンテストがあったの?
そう思った方もいるかもしれません(苦笑)。
それもそのはず、実はこれまで一度も
日本人がグランプリを受賞していませんからね。
で、今回、35回目にして
ようやく日本人の写真家がグランプリを受賞しました。
福島県在住の野口勝宏さん、
受賞作は「福島の花」という組写真です。
おめでとうございます!
野口さんはすでに地元で広告写真家として
活動されていましたが、
2011年3月の東日本大震災を機に
身近な花をテーマに撮影を開始。
翌年から「福島の花」シリーズを発表し、
花の写真を届ける「福島の花プロジェクト」に
取り組んできました。
そして今回、その作品が世界各国の写真家、キュレーターなど
10人の審査委員の目にとまり、
見事グランプリに輝いたというわけです。
作品はすでにニコンのHPなどで発表されていますが、
表彰式の模様なども含めて
アサヒカメラ9月号で紹介しますので、
詳しくはまたあらためて。
それにしても、日本人初の快挙も素晴らしいことなんですが、
写真や映像の表現世界において、
「日本」はまだまだポテンシャルがありますね。
6秒〜180秒の映像を対照とする「動画部門」の
グランプリを受賞したポーランドのRudz Krzysztofさん。
写真で野口さんの左側で記者会見に出ている方です。
彼の受賞作「One」は俳句に影響を受けているんですね。
「俳句はとても抽象的だが、正確に瞬間をとらえることができる」
彼はそう言います。
今回の作品は俳句にインスパイアを受け、
自分自身の詩を作ったものなのだそうです。
しかも、ナレーションは日本語。
なぜ日本語なのか?
表彰式後のパーティーで直撃してみました。
曰く、日本語は抑揚が少ない言語で、
静かな映像のイメージを妨げない。
しかも、ささやくような音の響きがある、と。
僕らはどうしても自国語ということもあり、
説明を尽くすために言葉を重ねてしまいますが、
言葉をサウンドとしてとらえ、大胆に取り込むって、
確かに海外のアーティストのセンスなのかもしれません。
でも、それもまた日本語の持つチカラですよね。
考え方によっては、まだまだこの国でも
いろんなことができそうです。
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