頭が前傾すると首への負担は激増

 レバノン大学神経科学研究センター(※2)のJawad氏らは、頭が前傾すると背骨にかかる重量が劇的に増加することを報告しています。具体的には、成人において、正しい姿勢の場合、頚椎にかかる頭の重さは約5 kg ですが、頭が15度前傾すると、首にかかる力は 12kg、30 度の前傾で 18kg、45 度の前傾で 22 kg、60度の前傾で27kgに増加するというのです。また、頻繁に前屈を行うと、頚椎や靱帯、腱、筋肉組織、さらには骨部分にも変化が生じ、姿勢の変化や、頸部やその他の関連部位に感じる痛みを引き起こす可能性があることも指摘しているのです。

 カイロプラクティックの先生の指摘の通り、パソコンを使用することの多い私は、ふと気がつくと、頭が前方にでている姿勢になりがちでした。また、スマートフォンの画面を見る際は、下を向きがちでした。そこで、モニターを購入し、小さなパソコン画面を覗きこまなくて済むようにしました。暇つぶしにスマートフォンを眺める習慣も、やめることにしました。首のストレッチも、1日数回行うようにしました。

 首へ負担がかかっていた日常の癖や習慣を改善したところ、首の痛み自体を自覚する頻度が激減し、カイロプラクティックへ通う回数も自然と減っていました。長時間パソコンを使用した日は、どうしても翌日になると、首の痛みを自覚してしまいますが、首の姿勢を意識するだけで、こんなにも痛みが改善するのかと、正直とても驚いています。

 年末年始は、スマートフォンやパソコンを一旦手放してみて、自分自身の首に負担がかかっていないかどうか、今一度、みなさまも見直してみてはいかがでしょうか。

参照URL

※1https://www.currentresults.com/Weather/top-10-us-states-with-best-weather.php

※2https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5445652/

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山本佳奈

山本佳奈

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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