AERA 2024年1月1ー8日合併号より

『牧野伸顕日記』も興味深い。牧野(1861~1949年)は、大正から昭和にかけ、宮内大臣や内大臣を歴任。昭和天皇の皇太子時代から地方訪問に帯同し、君民一体の奉迎を演出した立役者だ。「昭和天皇が各地を練り歩くことで『国体』が視覚化されていく。それを見て感動する牧野を通じ、ナショナリズムが強まってゆく過程がわかります」。時は流れ令和の今、

天皇制や皇室はどうアップデートされていくのか、原さんは研究を続けていく。(ライター・加賀直樹)

原武史さん本棚の10冊

『昭和天皇拝謁記』/古川隆久・茶谷誠一ほか編/岩波書店/2021~23年

『三笠宮崇仁親王』/三笠宮崇仁親王伝記刊行委員会編/吉川弘文館/2022年

『近代天皇制と東京 儀礼空間からみた都市・建築史』/長谷川香/東京大学出版会/2020年

『神功皇后』/神功皇后論文集刊行会編/皇學館大学出版部/1972年

『岩波 天皇・皇室辞典』/原武史・吉田裕編/岩波書店/2005年

『国王奉迎のタイ現代史 プーミポンの行幸とその映画』/櫻田智恵/ミネルヴァ書房/2023年

『牧野伸顕日記』/牧野伸顕著、伊藤隆ほか編/中央公論社/1990年

『側近日誌』/木下道雄/文藝春秋/1990年

『昭和の皇室をゆるがせた女性たち』/河原敏明/講談社/2004年

『梨本宮伊都子妃の日記─皇族妃の見た明治・大正・昭和』/小田部雄次/小学館/1991年

AERA 2024年1月1-8日合併号

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