AERA 2024年1ー8日合併号より(写真:アフロ)
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 2023年5月末、惜しまれつつも休刊になった「週刊朝日」の大人気連載「ドン小西のイケてるファッションチェック」がAERAで復活! 激動の2023年をファッションチェックで振り返ります。ドン小西節、健在です! AERA 2024年1月1-8日合併号より。

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2023年は、驚くようなことがいろいろ起こった年だったよね。そのいいほうの筆頭が、大谷翔平のミラクルな活躍だよ。しかしつい二度見したのは年俸。ま、一時はフェラーリでコンビニに牛乳を買いに行くくらいのことをやっていたあたしだけど、それでも年俸100億円って、まるでピンとこないもんな。

そうしてレッドカーペットを歩く大谷を見てみると、カッコいいのなんのって。彼にスーツを提供しているブランド「ヒューゴボス」は、電車に乗ってるサラリーマンでも着ているような中堅ブランド。世界のヒーローなんだから、「高級ブランドで夢を与えてよ」なんて言ったこともあったけどさ。こうしてトップに上り詰めても愛用しているところを見ると、義理堅いというか、謙虚というか、伸びしろが残っているというか。何でもいい方にしか見えないから不思議だよ。

これだからファッションチェックはやめられない。服が高いだの、安いだのじゃないんだって。着る人を取り巻く状況や気持ちや社会や、本人も気づいていないような変化で、白い服が黒にも見えることがあるってことだ。

文化って無駄から

その証拠に、23年に輝いた人たちはみんな、ファッションも光り輝いているだろ。例えば、アジア人初のアカデミー賞主演女優賞に輝いたミシェル・ヨーとか。そういえば海外のサイトに「ジャパニーズアクター」と入れて検索しても、出てくるのは韓国のスターばっかり。アジアはすっかりボーダーレスになったところで、日本はファッションの方向も、どっか中途半端だから不利だよね。

もう何年も前からブランドのチーフデザイナーは、何がどれだけ売れたかっていうPOSデータ。売れた要素を組み合わせただけで、たいていの新作商品ができあがる。あげくクセのあるテイストが淘汰されて、みんな同じ格好をまっしぐらだもの。

合理化は進んだかもしれないが、文化っていうのは無駄から生まれるものだからさ。黒を白く見せるほどの内面のパワー、みなさんも磨いてみませんか?

●ドン小西のイケてるファッションチェック2023(※満点は5ドン)

プロ野球選手 大谷翔平(29) 5ドン!

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