特別支援学級は障害による学習や生活上の困難を克服する学びの場だが、教員不足のしわ寄せで専門的な支援が受けられないケースも(写真:GettyImages)
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 教員不足が慢性化するなか、通常学級の担任がいない場合、「特別支援学級」から教員が引き抜かれる実態が起きている。AERA 2023年12月18日号より。

【グラフ】特別支援学級の児童数はここ10年でどうなっている?

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 4月の始業式に「担任の先生がいない」という事態に驚かなくなった。年度の途中で担任が代わることも珍しくない。慢性化する教員不足。そのしわ寄せが最も表れているのが特別支援教育の現場だ。

 なかでも、小中学校に併設された「特別支援学級(以下、支援学級)」や、通常の学級に在籍しながら週に数時間、障害に応じた指導を受ける「通級指導」での教員不足が顕著になっている。

 個別カリキュラムによる指導が必要なため、支援学級は1クラスの上限が8人。通級指導は児童生徒13人(東京は12人)に1人の先生が割り当てられる。

 だが、上限を超えて支援学級を編成するケースや、異なる障害の学級を一つにまとめるなどして確保した教員を通常学級に配置する学校も出てきている。

AERA 2023年12月18日号より

慣れた先生が他学級に

 都内の市部の小学校で支援学級の担任を務める50代の女性教員は言う。

「4月1日の学校だよりで、『2年1組の担任』の欄が空いていたら目立ちますよね。でも、複数の担任がいる『支援学級』で1人欠けていたとしても気づかれにくいんです」

 教員が不足する場合、まずは現場でなんとかしなければならない。それなら目立たないところから持ってこよう……。こうして、支援学級では欠員からのスタートを余儀なくされることがあるという。

 大阪府の小学校で支援学級の担任として働く40代の男性教員はこう訴える。

「ある小学校の支援学級では、4月に通常学級に先生を取られ、1人先生が足りないまま新年度をスタートしました。1学期の途中で補充されましたが、2学期に通常学級の担任が産休に入り、代替の講師が配置されず、せっかく埋まっていた支援学級の先生をまた持っていかれた。慣れた先生が学期途中で自分の担当でなくなり、他のクラスで教えているのを見て、『なんでうちの学級にいないの?』とこぼしていた子もいました」

(ライター・黒坂真由子)

AERA 2023年12月18日号より抜粋