大江加代(おおえ・かよ)/1967年生まれ、愛知県出身。野村証券に22年間勤め、独立。著書に『「サラリーマン女子」、定年後に備える。』がある(写真:本人提供)

 老後のためいくら貯金しておけばいいのか、不安な人も少なくないだろう。終活で避けては通れない「お金」のこと。どのように向き合えばいいのか。確定拠出年金アナリストの大江加代さんが解説する。AERA 2023年12月18日号より。

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「終活」をする上で最も気がかりなことのひとつが「お金」のことだ。

 通っていないスポーツジムの会費、読んでいないウェブマガジンなど「サブスク」の整理、携帯電話プランや無駄な保険の見直しはマストだが、気になるのは、2019年に話題になった「老後2千万円問題」。

 金融庁の報告書に端を発した問題で、簡単に言うと「老後の30年間で約2千万円資金が不足する」という試算結果が出たのだ。

 確定拠出年金アナリストの大江加代さん(56)に解説してもらった。

「統計から導き出された数字であって、特に意味はありません。老後の生活資金は、現役時代の7がけ。派手な生活をしていた人が急に質素になることはなく、2千万円必要ない人もいれば、もっと必要な人もいます」

 老後に平均寿命まで生きると仮定すると「1億円必要」とする試算もあるが、

「これも、日々の生活費によって差があります。老後の夫婦2人の世帯の平均支出(税・社会保険料別)は23万円ほど。65歳から90歳までの25年とすれば、総額7千万円ほどです」

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古田真梨子

古田真梨子

AERA記者。朝日新聞社入社後、福島→横浜→東京社会部→週刊朝日編集部を経て現職。 途中、休職して南インド・ベンガル―ルに渡り、家族とともに3年半を過ごしました。 京都出身。中高保健体育教員免許。2児の子育て中。

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