仮に7千万円だとしても、退職金がある程度見込める人もいるし、公的年金で大半が賄える人も多い。長生きリスクに備えるならば、生活費を賄えるぐらいに公的年金を繰り下げるのも手だ。

「老後が不安だ、と言いながらも自分の退職金の額を知らない人は案外多いです。不安は放っておくと発酵して大きくなるだけ。退職金と受け取れる年金額を調べてみると、老後のために貯めておくのはあと500万円だとわかったら、どうでしょう? 生活を切り詰めすぎることなく、思い出づくりや『推し活』に投資できるし、仕事や働き方を自分軸に切り替えることもできるかもしれません」

 そんな老後のお金の使い方について考えるには「50歳」が絶好の機会という。

 まず毎年、誕生日の月に届く「ねんきん定期便」は、50歳までは加入実績に応じた金額しか表示されないが、50歳以降は将来受け取ることができる「見込み額」が表示されるようになる。

 また、シニアを重要な戦力ととらえている企業では、定年後の再雇用制度や働き方についての説明が積極的に行われるようにもなる。大江さんは力を込めて言う。

「心身とともにお金の面も健康でいることが前向きな老後には不可欠です」

(編集部・古田真梨子)

AERA 2023年12月18日号

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