ダウン症の子ども、美良生(みらい)くんを育てる俳優の奥山佳恵さん(49)。【前編】では、ダウン症の告知を受けたときの心情や受け入れるまでの苦しみなどについて語ってもらった。【中編】では、初めは受け入れてもらえなかった義父とのエピソードや、世間に広がってきた「新型出生前診断」への思いなどを聞いた。
※【前編】<ダウン症児を育てる奥山佳恵さんの頭の中が「モンスター化」してしまった過去 だからこそ“誤解”をなくしたい>より続く
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「ダウン症」という障害がある美良生くんを親族全員が、初めから受け入れてくれたわけではなかった。当初、義父には、美良生くんの存在を理解してもらえなかったという。
「時代だったとは思うんですけど、お義父さんは学力の高さを重んじる方だったんです。美良生と何度か会う機会はあったのですが、なんとなく距離を感じていました。ある日、美良生がダウン症だということが事前にわからなかったのか、というようなことを言われて、夫が大衝突しまして……。もちろん、悪気があって言ったわけではありませんけど、私はお義父さんのことが大好きだった分、子どもを全否定されたことは余計に悲しかったですね」
一方で、ダウン症の診断が下されたとき、「ダウン症=怖い、恐ろしい」と考えていた奥山さんには義父の気持ちが痛いほどわかったという。
「私も美良生と過ごしてから、ダウン症が怖いものではないとやっとわかったんです。なので、お義父さんは美良生と過ごしている時間が全然少なかったので、理解してもらえないのも仕方ないと思いました。だから、手紙で気持ちを伝えることにしたんです」