一点の曇りもない澄んだ微笑を見て、アレッサンドロの目から涙があふれました。
「マリア……ああっ、ぼくは、なんて愚かなことをしてしまったんだ! こんなぼくをゆるしてくれるというのか、マリア? どうして、こんなぼくを―!」
アレッサンドロは、マリアの肉体が滅んでも彼女は聖女として天国で生きていることを確信し、初めて回心しました。以後、彼はマリアの母親に謝罪の手紙を獄中から送り続け、やがて恩赦で釈放された際には直接謝罪し、母親からもゆるされました。
自分が暴行され、殺害されながらもアレッサンドロを恨まずゆるし、彼の回心を祈り続けたマリア・ゴレッティは1947年に列福され、1950年に列聖された時に彼女の母親はまだ健在で式典に出席し、その4年後に娘の待つ天国へ旅立ちました。