でも、そんなひと時は、突然途切れた(笑)。
ある日、その女の子がライブ会場に一人の男性を連れて現れたの。そして、ボクに言い放った。「あなたのことは今日できっぱり忘れます。もうライブには来ません」ってね。ボクは、あまりに突然のことで、言葉がでなかったよ。どうやら、その男性は新しくできた恋人だったみたい。ほんの少し前まで、あんなに情熱的に思いを伝えてくれていたのに、それ以来、完全になくなった。結果的に、ボクが捨てられたみたいな空気になって、すごく複雑な気分だった……。好きな人ができると女性は切り替えが早いな、と学んだ瞬間だったよ(笑)。
あと、ボクが半裸状態になっている手作りの人形や、仏壇やタンス、トイレの便器などの独特なオブジェをプレゼントしてくれる少し変わった女の子もいたね。ちなみに、仏壇の扉、タンスの引き出し、トイレの便器のフタを開けるとなぜかボクの人形が入っているという、なんとも奇妙なオブジェだった。「いったい、どういう感情なんだろう」と、毎回戸惑っていたね(笑)。その女の子とは、実は「水曜日のダウンタウン」で共演したことがあるんだけど、ボクのことが「人間じゃないから好き」と答えていた(笑)。
改めて振り返ると、ボクは、いろんなファンの方々に支えられているね。もちろん、中には、ちょっといじり方が雑だったりして、対応に困ってしまう人もいなくはない。でも、そういうのですら、最終的には、ボクは、ありがたいなと思えちゃう。
だって、芸人やタレントさんの中には、声をかけられたくても、まったく声をかけてもらえない人もいるわけだからね。ボクだって、若手の頃は、そんなのまったくなかったし。安田大サーカスの人気は、団長がほぼ独占していたからね。そんな時代を考えると、ボクという存在を知ってくれていて、わざわざ声をかけようとしてくれただけで、ボクはうれしいの。
みんなにとって、ずっと親しみやすい芸人でありたい。これからも、よろしくだしん!
(構成/AERA dot.編集部・岡本直也)