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イスラエルとハマスが戦闘の一時停止で合意し、イスラエルによるパレスチナ人政治犯の釈放、そしてそれに伴う4日間の戦闘一時停止が24日に始まった。今回の合意のイスラエル側の狙いは何か。AERA 2023年12月4日号より。
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「ガザの人びとには安全な場所はない。家でも、国連の旗の下でも、病院でも、北でも、南でも」
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のラザリニ事務局長は11月21日、エジプト・カイロからのオンラインスピーチの中で、イスラム組織ハマスによるイスラエル南部への越境攻撃の後に始まったイスラエル軍による報復攻撃で、ガザにいるUNRWA職員108人が犠牲になったことを明らかにした。
演説ではガザの保健省が発表した死者の累計が1万3千人に達し、子どもが5500人、女性が3500人と、死者の3分の2に上ることも触れた。
これだけの犠牲を出した後で、やっと22日、カタールの仲介で、イスラエルとハマスは4日間の戦闘停止で合意した。ハマスが拘束している50人の人質の女性や子どもの解放と引き換えに、イスラエルが拘束している150人のパレスチナ人政治犯を釈放するという内容だ。
戦闘停止の間に、すべての病院が機能停止になっているガザ北部への、食料や医薬品など人道援助物資や燃料の搬入が実施される。
米国が初めて距離置く
これまでイスラエルのネタニヤフ首相は戦闘停止を拒否し続けてきた。常にイスラエルの後ろ盾となってきた米国のバイデン政権が、今回の合意を強く働きかけたとされる。米政権はイスラエル軍の空爆・地上戦で死者が増え、急激に人道状況が悪化したことに対する国際社会と米国内での反発に押されて動かざるをえなくなった。
米国の変化の兆しは、11月15日の国連安全保障理事会で見られた。「戦闘休止」を要請する決議に対して、米国は拒否権を行使せずに棄権したことで、決議が採択された。イスラエルに抑制を求める安保理決議に拒否権を行使してきた米国が、初めてイスラエルとの距離を置いた。今回、一時的停戦実施のために、ウィリアム・バーンズ米中央情報局(CIA)長官が、仲介をしているカタールに行き、人質解放交渉に当たった。
今後の焦点は、この戦闘停止の合意がガザ戦争を終わらせる停戦に向かうかどうかである。
ネタニヤフ首相はハマスとの合意後の声明で、「我々のすべての目標を達成するまで戦争は続く」としている。その「目標」とは何か。10月末に流出したイスラエルの諜報(ちょうほう)省の「政策文書」に〈目標〉が出てくる。