個性派俳優・佐藤二朗さんが日々の生活や仕事で感じているジローイズムをお届けします。今回は「撮影現場の鏡の無常さ」について。
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前にも書きましたが、現在、ダイエット中であります。
人生初ダイエット。
本日(締め切りより少し早め、11月13日にこの原稿、書いてます)、この5ヶ月半でちょうど8.0キロの減量。目標まであと0.4キロ。このまま気を抜かず続けようと思っていますが、そしてエックス(旧ツイッター)にも投稿しましたが、いやホントね、家の鏡だと、「よし、順調順調」と思えるんですよ。なにせ、家にはね、僕と同じで、ずんぐりむっくり体型で名を馳せた妻がいますからね。今かなりの地雷を自ら踏みに行った気がしますが、いや冗談は抜きにしても、妻はごく普通の一般人。僕もごく普通のオッサン。まあ、なんといいますか、家の鏡には平和が写るわけです(自分の怠惰な肉体をそれほど自覚せずに済むわけです)。
ところがです。皆さま、すでにお気づきの方々もいらっしゃると思うんですが、いま僕が出演している連続ドラマ「トクメイ!警視庁特別会計係」の共演者、とりわけ刑事課の男性陣たちが、みんな凄まじいんです。
全員、身長180センチ越え。全員、小顔。全員、抜群のスタイル。
一縷(いちる)の望みのJPでさえ、非常に恵まれたスタイル。
そんな人たちに囲まれた撮影現場の鏡を見ますとね、「誰だ、この、どでーんとしたオッサンは?……あ俺か」とか「ん?大きな壁が写ってるなあ……あ俺か」となるわけです。
おまけに役者まわりのスタッフさん(メイクさんや衣装さん)も、皆さん小顔。先日なんぞは現場の鏡に写る自分の顔を見ながら、ふと「……なんで俺、役者やってんだろ?」と根源的な問いを自らに課す始末。
まあ、8キロ減量しても壁は壁。普通のオッサンは普通のオッサン。メゲることなく、なんとしてもこのまま減量は続けるつもりです。なにより人生で初のダイエット。貴重な体験。54年間、一切知ることがなかった「体重計に乗る前の緊張、悔恨、安堵、喜び」を毎日毎日味わえていることを、これからも思いきり愉しみたいと思っています。