だから、「ものまねグランプリ」でホリさんと共演できたことはとても感慨深いものがあった。「クロちゃん、ほんとうにありがとう」、出番後、ホリさんはすぐにボクに声をかけてくれた。ホリさん!お礼を言いたいのはボクのほうです。

 それに、あと、もうひとつ、ボクは、ホリさんに感謝したいことがある。実は、ボクは、ホリさんのおかげで、自分のこの高い声に、自信がもてるようになったんだよね。

 ボクは、昔から、自分のこの高い声をからかわれることがとても多かった。近所の人にジロジロ見られたり、思春期には同級生やヤンキーの先輩に変なものまねをされて、バカにされることも一度や二度じゃなかった。

 当時は、「周りの声なんて気にしない」、そんな風に強がってはいたけど、正直、「嫌だな」とショックを受けることもあった。当然、それは大人になってからも、芸人になってからも続いていた。

 だから、「ものまねされること=からかわれている」、そんなマイナスなイメージはボクの中でずっとあったし、自分の声がコンプレックスに感じる瞬間も少なくなかった。

 そんなボクを変えてくれたのが、ホリさんだった。ホリさんのものまねは、これまでボクをからかってくる人たちのとはあきらかに違っていたんだよね。

 一つの芸として、エンターテイメントとして、うまく見せてくれていたし、そして何より、ボクに対して、ちゃんとリスペクトしてくれているような思いも伝わってきた。そして、それを見た大勢の人が、手をたたいて笑って喜んでくれている。その光景が、ボクの中では、とても大きかった。

 今では「この高い声でよかった」と、心の底からそう思っている。自分の声に誇りももてるようにもなった。

 いまだに、SNSなどでは、ボクのものまねを過剰に、からかうようにやる人がけっこういるけど、その人たちに対しても、今ではうれしく思うようにすらなった。ものまねに対して抱いていたマイナスなイメージもまったくない。

 大げさに聞こえるかもしれないけど、ボクは、ホリさんに救われたと思っている。

 ホリさん。ほんとうにありがとうございます。

 これからも、できるだけ長く、ボクのものまねを続けていってほしいしん!

(構成/AERA dot.編集部・岡本直也)

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