それからというもの、ホリさんは、ボクがテレビにあまり出られていない時期でさえも、ずっと変わらず、ものまねをやり続けてくれている。これは、ほんとに感謝しかない。

 少し話はそれるけど、安田大サーカスは、結成後わりとすぐにテレビに出始めたグループだった。フジテレビの深夜のネタ番組とか、大阪のロケ番組などの仕事がポンポンって決まって、このまま順調に売れていくんだろうなって、生意気にも感じたりもしていた。

 ホリさんがボクのものまねをやり始めてくれたのは、そんな時期だった。知名度が高まった影響もあってか、他のタレントさんでも、ボクのものまねをしてくれる人が増えたりもしていたし、その頃ボクは少し調子にのっていた(笑)。

 でも、そんな時期は長くは続かず、後輩芸人にもどんどん抜かれていって、仕事はあっという間になくなっていった。すると、それに比例するかのように、ボクのものまねをしていた人たちも、一気に、誰もやらなくなった。

 そんな中、ホリさんだけは、ずっと、ものまねをやり続けてくれていた。当時は、もちろん、ありがたい気持ちもあったけど、それと同時に申し訳ないって気持ちもけっこう強かったのを覚えている。当時、ボクのものまねをやったって、きっと、そんなにウケなかっただろうからね。それなら、他の人のものまねをしてくれていいですよって、そんな風に心の中で思ったこともあったよ。

 当時のホリさんのことを振り返っていると、以前、出川哲朗さんが語っていた、ある話をよく思い出す。

 ものまねが得意な松村邦洋さんが「笑っていいとも」に初出演した時の話。松村さんは、タモリさんとのやりとりの中で、いろんなものまねを披露して大爆笑をとっていた。そんな中で、最後に、松村さんは、ブレーク前の出川さんのものまねをやったんだって。でも、当時の出川さんはまだ無名だから、お客さんは誰だかよく分からない。だから、スベってしまったとか。そんな状況を知った出川さんは、松村さんに電話で「なんで俺のものまねなんかやるんだよ!せっかくウケていたのに」って伝えた。でも、松村さんは、「俺は出川さんのモノマネは完璧なんです。あとは出川さんの『売れるの待ち』ですから」と答えたって。出川さんはうれしくて号泣したみたい。

 すてきな関係だよね。きっと、松村さんは、出川さんのことをほんとうにおもしろい人って思っていたからこそ、最後に披露したんじゃないかな。いくらスベっても関係ないっていうのは、かっこいいよね。

 ホリさんとボクとの関係性は、松村さんと出川さんとは違う。でも、ホリさんのことを考えると、その話がリンクしちゃって、なんともいえないうれしい気持ちになる。ホリさんは、いつもボクに「クロちゃんは、ほんとうにおもしろい」ってやさしく声をかけてくれるからね。

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