「なぜ、この板は女性向けじゃないんですか?」

 すると彼は、

「この板は検定用のものなので」

と言う。意味がますますわからなくなり、

「女性向けじゃないとか、女性向けだとか、どういう意味で言ってるんですか?」

と聞くと、

「この板は技術力が高い人に向いています」

と言うのである。へぇ〜。こうなると、私はこう聞き返すしかない。

「女性は技術力が低い、という意味ですか?」

そこで初めて彼はハッとした顔をするのだが、私はもう、この店員からは買いたくなくなっている。で、こう言う。

「『女性に勧めない』と言うのは女性に失礼ですよ」

 ……さて、これはカスハラだろうか? 私は男性の店員にモラハラをされたと思っているのだが……。

 で、こういう目にあうのがいやだから、あーあ、もう人と接しないで済むネットで買おう〜となり……ますます人と人とのコミュニケーションへの障壁が高くなるような気がするのである。ちなみに、こういうことは、家電量販店でも時々起きる。「女性はこちらが扱いやすいです」とか「女性でも使えますよ」とか。「女性でも使える、というのはどういう意味ですか?」と、私はいちいち聞くようにしているけれど、いいかげん、ドライヤーにジェンダーつけるな……と心から思う。

と、経営者であり販売員である身としてカスハラに苦しめられつつ、客としては店員からのモラハラに苦しめられる。どっちも女性差別であることが、ジャパーンのリアルですね。

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