「材料を間違えてませんか? しょっぱいです」と店員に伝えたところ、「そんなわけないでしょ〜」と笑われたのだけど食べられず、「申し訳ないけど」と返した。
その後レジで会計をしていたら店長がやってきて、「塩の分量を間違えました。パンケーキのお代は結構です」と言いながらもコーヒー代を請求してきたので、「コーヒー代もただにしろ! っていうか謝れ!」と心の中でわめいたが、言われるままコーヒー代を支払った。驚きすぎると人は反応できないのである。また、いつだったか、デパ地下で老舗料亭のお弁当を買って新幹線に乗ったところ、お弁当の中から生きたゴキブリが出てきた。運悪く、東北新幹線の最終で車内サービスがなく、私は2時間近くを空腹で過ごさなくてはならなくなった。一応伝えておこうとデパートに電話をしたが、金銭の要求は辞退し、「これから注意してほしい」と伝えるにとどめた。そのくらい辛抱強さはあるほうではある。
ただ、そういう私が店員に対してクレームをつたくなるのは、やはりジェンダーに関することである。
これはつい先日のこと。スポーツ用品店での出来事である。
スキー板を選ぶ私に、接客してくれた若い男性店員が何を聞いても、「女性の方にはこれ」とか「それは女性には向いてない」と言うのである。スキー板に女性用とか男性用なんてあったっけ?(持ち歩けるように軽いものや、足が小さい人向けのものもあるが、一般的には身長と技術力で決める)……とモヤモヤしながら、「これ、女性用のスキー板なのですか?」と念のために聞くと、「ユニセックスですけど、女性や子供向けです。僕は男子中学生にもすすめますね」とか言うのである。ちなみにスキー板を買うときには、「お客様の技術レベルは?」と聞かれるので、自分が中級者であり、スピードは歓迎であることも伝えている。さらに私の身長はその男性店員よりも高い。それなのに、「この板はどういう特徴があるんですか?」と聞いても、「女性向けです」とか「女性にはおすすめしない」しか教えてくれないのであった。ちなみに、一緒にいた男友だちには(技術レベルは私とほぼ同じ)、「男性向け〜」とかは言わず、板の特徴を詳細に教えて、上級者向けの板をすすめるのであった。
なので、つい、考える前に言葉が口から出てしまったのだった。