正規の七五三イヤーは次男だけ。だから次男メイン。自分の気に入ったスタイルで数パターン撮らせることにする。

「鎧が着たい! ていうか着る!」。ほらきた。期待通り。今でこそだいぶ落ち着いてきたが、我が家の次男はその頃ちょっと目を離すとどっかに飛んでっちゃう火の玉ボーイ。言うと思ったよ。

私「いくつか種類があるけどどれがいいの?」

次「全部!」

間髪をいれないな、こいつは。

私「全部は無理」

次「なんで?」

私「お金がかかるんだよ。一つ着るといくらってね」

次「いくらかかるの?」

 3000円くらいだったか。ま、それくらいの額だ。

私「3000円かな」

次「……………(考えて)わかった。一つにする」

 子どもに気を遣わせてしまったようだ。写真屋さんが複雑な顔をしている。ずいぶん切羽詰まった家族が七五三の写真を撮りに来たな、と思ってることだろう。次男が思案の末、選んだのは伊達政宗タイプの鎧兜。オデコにナイキのマークみたいなヤツが付いた、めちゃカッコいいやつ。

 写真屋さんが「刀も付きますよ」と言った途端に次男の目が光った。「いくらですか?」と私が聞くと、次男はちょっと哀しそうな顔をした。「いえいえ、もちろん無料です」。次男の目がより光を帯びた。

私「よかったな」

次「うむ!」

 気分はすでに独眼竜、梵天丸もかくありたい。

 写真屋さんが言った。「馬もありますけどいかがですか?」

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馬……馬ねえ……馬はさすがに