衆院本会議の代表質問を傍聴するジャニーズ性加害問題当事者の会の平本淳也代表(左)と石丸志門副代

10月2日に行われたジャニーズ事務所による2回目の記者会見から1カ月がたった。会見は記者の質問制限があったことなどから紛糾し、ジャニーズ側からはっきりとした返答がなされなかった部分も多い。

【写真】ジャニーズタレントと「蜜月」だった元首相はこの人

そこで改めて、時事YouTuberのたかまつななが、ジャーナリスト、弁護士、被害者の3人を交えて、芸能人の人権保護、行政や政治家の巻き込み方、日本の芸能界の未来などについて議論した。(YouTube「たかまつななチャンネル」でも議論の様子が公開されています)


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記者会見の内容をどう評価したか

たかまつ:さっそくですが、皆さんは今回の記者会見の内容をどう評価していますか。

二本樹:被害者、当事者たちにとってはこうした事務所による会見、発表の1つ1つが一歩ずつの「前進」であると捉えています。また被害の実態規模が少しずつ明らかになっていることもうれしく思っています。私たち当事者の会が実名、顔出しをして活動してきたことによって、ようやく匿名でも被害の声を訴えることができる人たちが増えてきた。そういった状況に感謝しております。

佐藤:登壇した方々、運営会社、登壇した弁護士が、「本質」を理解していなかったために記者会見が混乱し、大きな騒ぎになってしまったと見ています。一番の問題は、登壇した弁護士自身が、この問題の本質、特に人権問題について、しっかりと受け止めていなかったのかなと感じています。例えば、登壇した弁護士の受け答えの中で、権利関係については「これから考えていきます」という発言があったのですが、その中で「各論中の各論」という表現をしていました。今回の問題は、芸能人の方々の人権、そしてその中にある権利も大きな問題になっていますので、この回答を聞いたときに、今回の問題の本質を理解していないと感じました。

松谷:方向性自体は見えてはいるんですけど、内容に関して詳細が判然としないところもあって、全体的にふわっとした印象でした。権利関係の話などをちゃんと詰めていなかったので、これは本当にできるのかという疑問が強く残りました。ファイナンスに関してもまた後日と感じでお茶を濁しているので、全般的に方向性を示しただけで終わったなという印象ですね。

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たかまつなな

たかまつなな

株式会社 笑下村塾代表取締役。1993年神奈川県横浜市生まれ。若者の政治参加が専門。主権者教育と若者議会を広めるべく、時事YouTuberとして、政治や教育現場を中心に取材し、若者に社会問題を分かりやすく伝える。株式会社笑下村塾を18歳選挙権をきっかけに設立し、出張授業「笑える!政治教育ショー」「笑って学ぶ SDGs」などを全国の学校や企業、自治体に届ける。著書に『政治の絵本』(弘文堂)『お笑い芸人と学ぶ13歳からのSDGs』(くもん出版)がある。

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問題の本質は「メディアの加害性」