法整備が急務な理由とは
松谷:例えば、韓国の場合は、日本でいう文部科学省の傘下に、コンテンツ振興院という準政府機関、日本における独立行政法人みたいな組織を作って、そこがかなりの権限を持って対策をしています。そこをモデルにしてやれば面白いことになると思います。
佐藤:これから、仮に、独立行政法人をつくるにしても、法律論をしっかりと考えていくべきだと思います。芸能人の法律問題については、憲法、独占禁止法、下請法、フリーランス新法、知的財産法、労働法令、民法など、各法律が絡んでいるため、芸能業界の法律問題について研究している学者の先生方は少ないですし、詳しい方々も少ないと考えています。
たかまつ:佐藤さん、法整備の面ではどんなことが必要ですか?
佐藤:韓国では2022年、「芸術家の地位と権利の保障に関する法律」が施行されました。例えば、その法律では、性被害などのトラブルがあった場合の窓口の設置について規定しています。日本でも芸能人の方々、芸能従事者の方々の地位と権利を守る法律が必要不可欠だと思っています。
具体的には、まず、実演家の権利の確立です。確かに、著作権法では、実演家の権利として、著作隣接権を定めていますが、例えば、パブリシティ権、声に関する権利など、法律で定まっていない権利もあり、現在の法律では不十分であるため、実演家の権利の確立が必要だと思います。