ドラマ「いちばんすきな花」で主演の一人を務める神尾楓珠さん。目標は定めず、与えられた役をまっとうする。静かな語り口に芯の強さが覗いた。AERA 2023年11月6日号より。
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――四人の男女の友情と恋愛を描いたドラマ「いちばんすきな花」で、多部未華子、松下洸平、今田美桜ら第一線で活躍する俳優らとともに主演の一人を務める。“クアトロ主演”という構成に、昨冬社会現象を巻き起こしたドラマ「silent」の生方美久が脚本を手がけることもあり、放送前から今クール一番と言っていいほどの注目を集めている。
神尾楓珠(以下、神尾):最初に四人が集まったときは、若干緊張していました。でも、僕よりも経験のある方がいらっしゃるし、松下さんも多部さんもすごいフレンドリーというか。緊張感を持たせる方ではなかったので、そんなに気負うようなことはなく、伸び伸びとやらせていただいています。これが単独だったらもっとプレッシャーとか、とらえ方も違ったのかもしれません。
――作中では、異なる場所で生活していた四人が出会い、関係性を築いていく姿が描かれている。次第に距離が縮まっていく様子は、現場の空気感にも当てはまる。
神尾:回を重ねるごとに、四人が集まるシーンの雰囲気も全然違うものになっています。でも、3話で僕と松下さんが二人になるシーンがあるんですけど、監督から、「仲の良さが出ちゃってる」と言われてしまって。ドラマの展開より先に、僕たちが仲良くなっちゃったんです(笑)。松下さんは本当にすごくて、どんな場面でもコミュニケーションをよく取ってくださるので心強いです。
――神尾が演じる佐藤紅葉(もみじ)は、コンビニで働きながらイラストレーターの夢を追いかける27歳の青年。周囲からは友達の多いイメージを持たれているが、表面的な付き合いばかりで、本音で悩みを打ち明けられる友達がいないという思いを抱えている。
神尾:役柄をもらったとき、最初はよくわからなかったというか、つかみどころがない人物だなというのが正直な印象でした。クランクインしてからも、1話の段階ではまだぼんやりとしか紅葉像ができていなくて、どうみせるのが正解なのかを考えながら演じていました。