安易な米国追従でなく
──今度の軍事衝突には様々な国が関わっています。どこかでバランスが崩れれば、地球規模の戦争につながる可能性もあるのでしょうか。
1914年に始まった第1次世界大戦も、1939年に勃発した第2次世界大戦も、始まりは局地的な二国間戦争でしたが、近隣国の連鎖的反応により、世界規模での戦争に拡大しました。今回のガザ紛争では、従来、イスラエルと敵対関係にあるイランが、ハマスの行動にどの程度関与したかに関心が集まっていますが、イランやその支援下にあるレバノンの武装組織ヒズボラが軍事衝突に関与すれば、紛争の火は中東で広がります。
──私たちにできることは何でしょうか。
日本は欧米諸国と異なり、アラブ人やユダヤ人と衝突した歴史がなく、パレスチナ問題でも本来は中立的な立場で仲介することが可能です。安易なアメリカ追従でなく、人道的観点からパレスチナ問題の解決に貢献する姿勢をとるべきだと思います。ガザ市民が冷酷なハマスに頼らざるを得ないのは、自分たちのために戦ってくれる唯一の存在だからで、そうした絶望感を取り除く努力を、国際社会はすべきです。
(編集部・野村昌二)
※AERA 2023年11月6日号より抜粋