というのも、現在検討されている減税策は、来年1月召集の通常国会に税制改正法案が提出され、年度末に成立。実施は早くても6月から、という段取りになっているからだ。
岸氏がこう指摘する。
「法改正はどうしても時間がかかります。恩恵を受けるまでに半年以上も待つ必要があり、その間、苦しい生活が続くことになります。1回限りで定額で減税するなら、定額給付でお金を配ればいい話です。給付金であれば半年早く国民に届けることができます」
国民が苦しんでいるとの意識が低い
今回、岸田首相があえて「減税」という手段をとっている背景には、現在SNS上で広まっている岸田首相を揶揄する言葉があると見られている。X(旧ツイッター)では岸田首相を批判する文脈で「増税メガネ」という言葉が頻繁に使われている。
岸氏がこう話す。
「『増税メガネ』という悪評を払拭(ふっしょく)したいという思いのほうが優先してしまっているのではないでしょうか。そうでないならば、単純に、国民の生活が物価高で苦しくなっているという意識が低いのかと思えてしまいます」