石井紘基氏の墓参りをする泉房穂氏
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 泉房穂・前兵庫県明石市長の勢いが止まらない。自らの後継を選ぶ明石市長選を皮切りに、今月22日に投開票された参院徳島・高知選挙区の補選と埼玉県所沢市長選まで、応援に入った選挙で勝ち続けている。今はその人気にあやかりたいという、選挙を控える全国の候補者から応援要請が殺到している。一貫しているのは、政党本位ではなく市民目線かどうか、だという。この先を見据える泉氏の戦略とは。

「これで6連勝になりますわ」

 選挙を終え、泉氏はうれしそうにそう話した。

 参院徳島・高知選挙区補選では、野党系無所属の広田一氏を応援し、圧勝。埼玉県所沢市長選では、元衆院議員で新顔の無所属、小野塚勝俊氏が、自民党と公明党推薦で4期目を目指す藤本正人氏に約1万5千票の大差をつけて勝利した。

 激しい選挙戦後の25日、泉氏の姿は静岡県の伊豆半島の霊園にあった。

石井紘基氏の命日に

 21年前に暴漢に襲われ命を奪われた、元衆院議員の石井紘基氏の命日だった。泉氏が政治を志したのは、石井氏の秘書を務めていたことがきっかけだった。

「選挙のこと、政治のこと、師匠である石井先生にはいろいろ報告したいことがありました」

 と泉氏は話した。

石井基紘氏の墓前で手を合わせる泉房穂氏(墓参の写真はいずれも石井さんの娘ターニャさん提供)

 今年4月に明石市長を退任後、

「これからは、プレーヤーではなくバックアップ、サポートするほうにまわりたい」

 とAERA dot.のインタビューで語っていた泉氏だが、この一連の選挙でそれを実践してきたようにもみえる。

 最初は4月にあった地元の明石市長選。「明石市民の会」を結成して丸谷聡子氏を擁立し、自民党、公明党が推薦した候補に圧勝した。泉氏は候補者より前に立ち、走って演説していた。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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